デジタルマーケティング
デジタルマーケティングとは?その本質と手法、メリットデメリットについて
デジタルマーケティングと一口によく言われますが、どうして「デジタルマーケティング」なのでしょうか?拡販したいサービスに適し、コストに見合ったマーケティング手法を選択できるように、その本質と様々ある手法のメリットデメリットなどについてご紹介します。
私自身は、IT企業の事業開発部に身を置き、6万を超える見込み顧客情報を分析しつつ様々なマーケティング手法の効果比較を行った経験があります。現在においてはひとり法人として、何から何まで一人でやっている中で、当然ながらマーケティングとも日々向き合っています。当社が提供するSaaS「BringRitera(リテラ)」やSEOコンサルティングサービスの存在をお知らせするための手法として何が最も適しているか、試行と分析を繰り返しながら日々考えている状況です。
なお、冒頭でだけ述べますが、やはりSEOによる集客が圧倒的に費用対効果が高い、というのが当社の場合の現況です。
デジタルマーケティングとは?
デジタルマーケティングとは、その名の通り「デジタルを活用したマーケティング」全般を指します。
デジタルとは、インターネットやデジタルデバイスなどです。「データを活用したマーケティング」という定義の提起も見ますが、「デジタルマーケティング」という言葉からして、個人的には違和感があります。あえてデータ活用に焦点を当てるならば「データドリブン」という言葉を用いることが適切ではないでしょうか。目的ありきではなく、「データドリブン」で進めてみる、という意味合いが言葉自体に含まれているように思うからです。
データを活用すること自体を否定するわけではありませんが、経験的に言って、データを活用すること自体に意識の重きを置くと、データを活用することが目的化してしまい、またその工程に工数が無駄にかかってしまってトータルで見て費用対効果が出ずに失敗に終わるケースが多いです。
なんにせよ、デジタルマーケティングという言葉が生まれたのはテレビ、新聞、雑誌、ポスティングや交流会など従来のトラディショナルなマーケティング手法があるのに対して、デジタルによってマーケティング手法が広がっていて、幅広く手法を見比べたうえで最適な手法を選択すべき状況にある、ということが背景にありますので、より広い定義の方が私としてはしっくりきます。
SEOやSNSなども含まれるウェブマーケティングはデジタルマーケティングの手法の1つであり、
ウェブマーケティング以外では、メールマーケティング、デジタルサイネージなども挙げられます。
デジタルマーケティングの本質、特徴
マーケティングは、新規顧客の獲得、既存の顧客との関係強化、ブランドリピートの促進、売上の最大化を行うことを目指すものです。そのために様々な手法があり、デジタルマーケティングを選択する場合の目的は、より費用対効果の高い手法を選択することにあります。
テレビ、雑誌、新聞などのトラディショナルなメディアに比べて、デジタルマーケティングは以下のような特性があります。
- ターゲットをより絞りやすい。
- 消費者の購買行動に直接的な影響を与えやすい。
- 顧客との長期的な関係を築きやすい。
一方で、テレビ広告や雑誌広告は目にする人が多いというメリットがありますが、そもそもテレビ広告は高いですし、雑誌広告も安いとは言えません。だからデジタルマーケティングの方が費用対効果が高い場合が多いという側面もあるといえます。ただ、必ずデジタルマーケティングの方が費用対効果が高いかというと、ケースバイケースです。従来のマーケティング手法も需要が減れば料金は下がるでしょう。
顧客との直接的な関係構築
デジタルマーケティングの最大の特徴とも言えるのは、顧客との直接的なコミュニケーションを可能にすることです。従来のマスマーケティング(不特定多数の多くを相手としたマーケティング)と比較し、デジタルマーケティングでは各個人に対してカスタマイズされたメッセージを送ることで、より深い顧客エンゲージメントを実現します。
リアルタイムのフィードバックが強化する顧客関係
オンラインプラットフォームを活用したリアルタイムのフィードバックやインタラクションは、顧客とのコミュニケーションを強化し、顧客満足を高める重要な要素です。顧客からの即時の反応を得ることで、製品やサービスの改善点を迅速に特定し、対応を行うことが可能です。
パーソナライズされたマーケティング
オンラインデータ分析による顧客の行動や好みの理解を基に、個々の顧客に合わせたパーソナライズされたマーケティングが実施可能です。このアプローチにより、顧客一人一人に最適化された体験を提供し、顧客のロイヤルティを向上させることができます。
データドリブンなアプローチ
デジタルマーケティングのもう一つの特徴は、データ駆動型の意思決定を行いやすいことです。リアルタイムのデータ分析により、各マーケティングキャンペーンの成果をその場で評価し、必要に応じて素早く戦略を調整することが可能です。
セグメンテーションとターゲティングの精度
大量のデータを分析することで、顧客層を細かくセグメント化し、ターゲットとする顧客群をより正確に特定することができます。これにより、マーケティングの効率を大幅に向上させることができます。
成果の測定と改善
オンラインツールを用いた詳細なデータトラッキングは、キャンペーンの成果測定を容易にし、これを基に効果的な改善策を迅速に実施することができます。これにより、マーケティングの費用対効果を向上させ、ビジネス成長を促進します。
消費者行動の予測
過去のデータと現行データの分析を通じて、消費者の行動パターンを予測し、未来の市場トレンドを把握することもデータドリブンなアプローチの一例です。これにより、市場の変化に対する迅速な対応が可能となり、競争優位を確保することができます。
ウェブマーケティング手法
次に、手法についてご紹介します。ウェブマーケティングという言葉もあります。その名の通り「ウェブを活用したマーケティング」で、デジタルマーケティングの中に内包されますが、デジタルマーケティングの多くをウェブマーケティングが占めますので、ウェブマーケティングとそれ以外とに分けて整理しご紹介していきたいと思います。
SEO(検索エンジン最適化)
SEOは、Search Engine Optimization(検索エンジン最低帰化)の略称で、ウェブページが検索エンジンの検索結果上位に表示されるようにする対策です。適切で戦略的なキーワード選定と、ウェブサイトの最適化、外部対策が求められます。ウェブサイトの最適化はテクニカルなものと、コンテンツによるものがあります。
SEOの主なメリット
- 顕在層に対してアプローチできるので、コンバージョン率が非常に高い。
- 長期的な視点で安定したトラフィックを確保できる(=資産となる)。
- コストパフォーマンスに優れている。
SEOの主なデメリット
- 効果が出るまでに時間を要する
- 難易度が高い
時間を要するというデメリットに対して、AIでSEOに強い記事作成を行うツール「BringRitera(リテラ)」がおすすめです。
リスティング広告
リスティング広告はウェブ広告の1つで、検索結果に表示されるリストの1つとして表示されるものとなります。筆者の経験的に、SEOで上位を獲得しての流入に比べると、コンバージョン率は低くなります。真剣度が高い人は広告をクリックしないのではないかと考察しています。
主なメリット
- すぐに効果が出やすい。
- SEOと同じで顕在層にアプローチできる。
主なデメリット
- クリック単価が上がっているため費用対効果が出ない場合もある。
- SEOによる自然流入と比べるとコンバージョン率が低い傾向。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告はウェブ画面上に画像や動画などを表示させる広告です。Google広告では、ウェブサイト上に表示させるサービスがあります。FacebookなどSNS上に表示させるサービスもあります。いずれも、各社が把握しているユーザーの嗜好に合わせて広告を表示させられるという特徴があります。
主なメリット
- すぐに効果が出やすい。
- 潜在層へのアプローチが可能。
主なデメリット
- コンバージョン率は低い傾向。
SNSマーケティング
ソーシャルメディアを利用して製品やサービスを宣伝し、顧客と直接的な関係を築く方法です。自社で運営する方法と、フォロワー/チャンネル登録者を多く持つインフルエンサーに宣伝してもらう方法(インフルエンサーマーケティングと呼ばれる)があります。
なお、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すステルスマーケティングに対する規制法が2023年10月から開始していますが、特に問題視されてきたものの1つがインフルエンサーマーケティングです。実施する場合は、広告であることをインフルエンサーに明示してもらう必要があります。責任は広告主にあります。
主なメリット
- ある程度顧客層を絞れる。
- 潜在層にアプローチできる。
- 短期的な爆発力に期待できる。
主なデメリット
- 長期的効果は期待薄。
アフィリエイトマーケティング
製品やサービスを記事で推薦してもらい、それが販売促進につながった場合に報酬を支払う方法がアフィリトマーケティングです。これについてもステマ規制の対象なので、PR表記をしてもらう必要があります。自社でアフィリエイトプログラムを用意する方法もありますが、コンバージョン測定の第3者視点でのカウントがないとアフィリエイターが納得しづらいというデメリットがありますので、A8.netなどのサービスを用いるケースが多いと思います。
主なメリット
- 初期投資が小さくて済む。
- 成果に基づく報酬で費用対効果が計算しやすい。
- SEOと同じで顕在層にアプローチできる。
主なデメリット
- 効果の予測は難しい。
フォーム営業
マーケティングというよりも営業活動に近いかもしれませんが、会社の問い合わせフォームに営業の内容を送る、というのも良く行われています。反響率は高いとは言えませんが、数が打てるので、効果が出るケースも多いです。
主なメリット
- 数を打てる
- 分野別のコンバージョン率などの分析がしやすい
主なデメリット
- 丁寧にやらないと、ブランドイメージを悪くする可能性がある
ウェブマーケティング以外のデジタルマーケティング
メールマーケティング
顧客へダイレクトに情報を発信するメールマーケティングは、パーソナライズされたコンテンツを提供することで顧客の関心を引きつける効果があります。例えば、顧客の購買履歴や行動パターンに基づくおすすめ商品情報をタイムリーに提供することで、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できます。
サブスクリプションサービスでは、無料登録をしたユーザーに対して、あらかじめ用意されたメールを段階的に送る「ステップメール」と呼ばれる手法が良く用いられます。
主なメリット
- コストが小さくて済む。
- 顧客の興味ある内容でアプローチしやすい。
- ツール利用により開封率やエンゲージメント率などが簡単に把握できる。
主なデメリット
- 多数のメールに埋もれて読まれないリスクがある。
SNSダイレクトメッセージ
SNSのダイレクトメッセージを利用したマーケティングは、顧客との一対一の直接対話を可能にし、疑問や不満を迅速に解決する手段を提供します。
主なメリット
- お互いのプロフィールが分かった状態でのやり取りができる。
主なデメリット
- 不信に思われやすい。
ウェビナー(ウェブセミナー)
ZoomなどのオンラインMTGツールを用いたセミナーを「ウェビナー」と呼びます。コロナ禍によりオンラインMTGに人々が慣れたため、マーケティングメインストリームの1つとなっています。
主なメリット
- 高品質なコンテンツ発信をすることで興味を引きやすく問い合わせに繋がりやすい。
- Q&Aや参加者同士のディスカッションなど多様な形式が可能。
主なデメリット
- いかに参加者を集めるかが課題。
デジタルサイネージ
デジタルサイネージは、商業施設やイベント会場など、人々の集まる場所に設置されるデジタルディスプレイを利用し、動画やアニメーションを含む魅力的な広告コンテンツを展示します。これにより、従来の紙媒体による広告よりも高い注目を集め、記憶に残りやすいメッセージの発信が可能になります。従来は電車の中にはつり革広告と呼ばれる紙媒体の広告だけでしたが、今はディスプレイが設置され、広告が流れている車両もあります。あれもデジタルサイネージの1つです。
主なメリット
- 興味を引きやすい。
- 動画コンテンツによりサービスの内容を伝えやすい。
主なデメリット
- 動画の制作費用がかかる。
- 立ち止まって見てもらうことが難しいシーンもあり得る。
- 効果計測が難しい。
ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションは、ゲーム的要素を導入することで顧客の参加と関与を促進します。例えば、ポイント制度を設け、ポイントに応じたバッジで報酬を提供するといった手法が一般的です。
メリット
- 顧客のエンゲージメントが得やすい
デメリット
- ゲーミフィケーションの企画、制作コストがかかる
CRM活用/マーケティングオートメーション(MA)
CRMはCustomer Relationship Managementの略で、顧客管理システムです。顧客の情報をCRMに登録し、マーケティングオートメーションツールを利用することで、顧客データを統合的に管理し、効率的なマーケティング活動を展開できます。顧客の行動や嗜好を詳細に把握し、それに基づいたカスタマイズされたコミュニケーションを自動化することで、顧客満足度を高めつつリソースの最適化を図れます。
主なメリット
- 顧客の行動や嗜好を詳細に把握し、それに基づいたカスタマイズされたコミュニケーションを自動化できる。
主なデメリット
- CRMの構築と運用にかかるコストが高いので小規模事業者では取り組むのは難しい。
まとめ
デジタルマーケティングの定義から具体的な手法について、ウェブマーケティングと、それ以外とに分けてご紹介しました。デジタルマーケティングの本質はトラディショナルな手法に比べてターゲットを絞り込みやすく、直接的かつ効果的なコミュニケーションが取れるという点にあります。
一方で、紙媒体のポスティングが減少していることで、逆にポスティングの方がメールより見てもらいやすくなっているという側面が生まれていたりなどするので、その時々で最適な手法を見定めることが重要です。