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ChatGPT searchはどうなのか?Google一強時代は終わり、SEOは変わるのか?

2024年10月31日(米国時間)、OpenAIがAIによるウェブ検索エンジンの位置づけとなる「ChatGPT search」をリリースしました。
現状、検索エンジンは多くの国においてGoogle一強で、日本でもGoogleが圧倒的なシェアを誇っていますが、今後どうなるのか?
実際に使って、比べてみた結果を踏まえて考えてみたいと思います。

ChatGPT searchとは?

「ChatGPT search」はOpenAI社が2024年10月31日(米国時間)にリリースしたウェブ検索サービスです。2024年7月26日にリリースの予告発表がされ、一部のユーザーは試験利用ができる状態もありましたが、その約3ヶ月後に正式リリースされました。

ChatGPT search公式紹介ページ

リリースされたばかりの現時点では、有料版である「ChatGPT Plus」または「ChatGPT Team」のユーザーに限定されていますが、今後数ヶ月以内に無料版でも利用できるようになる予定です。ただし利用制限はかかるかもしれません。

ChatGPT searchの使い方

ChatGPTのプロンプト入力部分の左下に地球儀のアイコンが表示されているので、それをクリックします。

そうすると、ウェブ検索モードとなります。

この状態で調べたいことを入力すれば結果が表示されます。

次の画面が検索結果です。
引用元ページへのリンクとともにリストが示され、画面右側には、引用元とは別の検索結果リストも表示されています。

ChatGPT searchのChrome拡張機能

ChatGPT searchはChromeの拡張機能としても用意されています。

これをインストールして設定すると、ChromeのURL入力欄による検索結果がChatGPT searchに変わります。
独禁法とか色々あって文句は言えないのでしょうが、Googleからすれば、自社のブラウザでここまでやられると気分は悪そうですね(苦笑)。

検索結果について

さて、それでは検索結果の品質、使いやすさなどについて見ていきたいと思います。

おすすめの乾燥機

まず先ほどお示しした「乾燥機を使ってもしわになりづらく、乾きも良い、おすすめの洗濯機は?」の結果について。
左下に「情報源」としてビックカメラのサイトのリンク先が示されています。そこを見てみると、ChatGPT searchの結果は、ほぼそこから抜き出しているだけだということが読み取れます。

渋谷でゆっくりできるカフェ

次に、「渋谷でゆっくりできるカフェは?」のように検索してみると、地図が表示されます。

地図中に写真付きでリストが表示されますが、その並び順は検索するたびに変わるようです。

カラオケ屋さんが最初に出てきてますが、検索意図には合わないですね。
一方で右側に示される検索結果の並び順は同じで、検索意図に合った記事が上位に表示されています。
Googleで同じ文言で検索してみます。

ChatGPT searchとはだいぶ検索結果の並び順は異なるようです。
ただ、いずれも検索意図に沿ったお店を紹介しているページが載っているので、この部分は良し悪しの判断は難しいところです。

世田谷のおすすめの賃貸物件の最寄り駅

次に、「世田谷の賃貸物件でおすすめの最寄り駅は?」と検索してみます。
まずはChatGPT searchから。
三軒茶屋、下北沢、二子玉川、成城学園前、用賀の順に挙げました。

引用元なのかは不明ですが、3つのリンクを紹介しています

次にGoogle。ここではGoogleもAI Overview(旧SGE)が示されました。桜木新町、三軒茶屋、経堂、池尻大橋、二子玉川、下北沢、駒澤大学を挙げてます。

エクセルで重複をカウントする方法

次に、「エクセルで重複をカウントする方法は?」と検索してみます。

これに関しては通常のChatGPTと示し方としては似たような形となります。実際にその場でChatGPTが裏側で検索をするかどうかが違いなのだと思われます。

同じ検索でGoogleだとこうなります。この比較の場合、圧倒的にChatGPT searchのほうが私はわかりやすいと思います。

ChatGPT searchとGoogle検索の比較結果

Goクエリと言われるような「~に行きたい」というような検索に対して示される地図検索に関してはまだまだGoogleのほうが使いやすいですが、Knowクエリと言われるような「~を知りたい」に関しては、そもそも生成AIが得意とするところで、Google検索結果画面と比べればChatGPT searchの方がわかりやすいと思います。

GoogleはAI Overviewを導入しましたが、試験当初に比べてAIによる説明の表示頻度は少なく、表示領域は狭くしているように思います。

検索エンジンに関する今後の動向

2024年10月の検索エンジンシェアは、次の通りとなっています。

日本シェア世界シェア
Google79.52%89.34%
Yahoo10.05%4.16%
bing8.72%2.78%
YANDEX0.48%1.33%

引用元:statcounter GlobalStats

2009年の日本では、Googleは73.2%、Yahooは25.46%でした。Yahooの検索エンジンにはGoogleが使われているので、日本においてもほとんどGoogleが使われている状況です。

ここ2年くらいで見ると、AI検索をいち早く取り入れたbingのシェアが数%伸びてはいますが、Googleがここまでシェアを高めたのは、ユーザー第一を掲げての「使いやすさ」にあると考えます。

今後どうなるか、はっきり言って現段階では分かりません。逆に言えば、Googleが危機的状況にあるというのは確かだと言えます。

例えば私は、プログラミングを調べるときはほとんどChatGPTを使います。95%位はそれで解決して、解決しないときはまずはClaudeやGeminiで同じ質問をしてみる。それで解決することも多いですが、それでもダメならGoogleで検索してみます。

ただ、Googleは今でもよく使います。これまでは、人によって用いる検索エンジンは決まっていたと思います。例えばbingを使う人はいつもbingを使うので、シェアというものが存在しましたが、今後は使い分けになっていくのかもしれません。

AI技術に関して言えば、元々ChatGPTなど現在台頭している生成AIのもととなる技術「トランスフォーマー」はGoogleによる発明で、Googleの生成AI「Gemini」はすでにChatGPTよりも優れている面が目立つ状況になっています。

今後もその精度や技術力の勝負もあるとは思いますが、勝負の行方のカギを握るのは「ユーザビリティー(使いやすさ)」にあるのではと考えます。


Googleはその点に長けています。

果たしてOpenAIは勝てるのか?

SEOの今後

AI Overviewの登場によりSEOがどう変わるか、というのが着目されていますが、上述の通り、GoogleがAI Overviewの表示をおとなしめにしている現時点では何も変わってないと言って過言ではありません。

ChatGPT searchのシェアが高まっていけば、SEOの対象はChatGPT searchも含まれるようになっていくので、その意味ではSEOは大きく変わる可能性を秘めています。

では、やるべきことが変わるのかというと、引用元となるロジックが大きく変わるかどうかに依存しますが、大して変わらないという結論もあり得るとは思います。

Googleの検索エンジンアルゴリズムには、siteAuthorityという指標があります。Googleが明かしているわけではありませんが、漏洩したGoogle文書で示されてます。Googleはサイトの被リンクの数と品質をサイトの評価に用いており、その評価方法は特許にしているくらいです。

この評価方法はいまだに使われていて、むしろ直近では比重が高まりすぎていて質の高いコンテンツであっても小規模サイトでは上位化が難しいというところでGoogleは批判されています。
ChatGPT searchが被リンクを評価に使っているのかどうか、ここは着目したいポイントの1つと言えます。

そもそもYoutubeやインスタなど、ユーザーが何かを調べるときのメディアが多様化してきているので、ChatGPT searchもその一つであって、上述の通り使い分けになっていく可能性が高いと言えます。
SEOという視点だけでなく、これまでSEOを重点的にやっている人は、マーケティングという視点であらためて大きく捉え直して今後を考えていく局面がくるかもしれません。

ただし今のところその局面はきていません。まだしばらくはGoogle対策の重要性が続くでしょう。

著者のイメージ画像

株式会社BringFlower
稲田 高洋(Takahiro Inada)

2003年から大手総合電機メーカーでUXデザインプロセスの研究、実践。UXデザイン専門家の育成プログラム開発。SEOにおいても重要なW3Cが定めるWeb標準仕様策定にウェブアクセシビリティの専門家として関わる。2010~2018年に人間中心設計専門家を保有、数年間ウェブアクセシビリティ基盤委員も務める。その後、不動産会社向けにSaaSを提供する企業の事業開発部で複数サービスを企画、ローンチ。CMSを提供し1000以上のサイトを分析。顧客サポート、サイト運営にも関わる。
2022年3月に独立後、2024年4月に株式会社BringFlowerを設立。SEOコンサルを活動の軸に据えつつ、AIライティングツールの開発と運営を自ら行う。グッドデザイン賞4件、ドイツユニバーサルデザイン賞2件、米国IDEA賞1件の受賞歴あり。