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【知らないと損】Googleリスティング広告の基本ノウハウと始め方

2023年におけるGoogleの広告収入は約237.86億ドルで、全体の収入307.39億ドルの約77.4%を占めています(※)。この広告収入には、Google検索、YouTube広告、Googleネットワークからの収益が含まれています。
そしてGoogle検索広告の代表的なものとしてGoogleリスティング広告があります。そのためGoogleは、「無料コンサルをするから広告を出しませんか?」という営業を顧客候補に対して行っているようです。
当社のサービス「BringRitera(リテラ)」にGoogleに目を付けていただいて(?)、Googleによる無料コンサルを受けることができましたし、その内容は知っておくべき重要なことが多かったので、私の備忘録も兼ねてここで共有したいと思います。また、初めてGoogle広告を始める方向けに、基本的なところからご説明します。
なお、この記事でご紹介するノウハウは知れ渡った方がGoogle広告を有効に使ってもらえるため、公開して問題ない内容だと確認していますが、検索してもGoogleによる公式な情報として示されているものは、見つけられませんでした。

※引用
Oberlo | Where Self Made is Made
FourWeekMBA

リスティング広告とは?

次の画像は、「BringRitera」と本記事執筆時点で検索したときの検索結果画面です。

当然、自然検索結果1位は「BringRitera(リテラ)」という実在する当社サービスなのですが、それよりも前に「スポンサー」の表記とともに表示されているのがリスティング広告です。

GoogleのAIによる学習結果の推移

先ほどの例では、当社がGoogleに広告費を支払っている結果として自然検索結果のすぐ上にBringRiteraが広告枠にも表示されてしまっているのですが、「BringRitera」という検索ワードに対して表示されているのは私の本望ではありません。これについては手動での対処方法があるので後ほどご紹介します。

また、表示される文言が「SEOに強いAIライティングツール」だけになっているのも、想定と異なります。他の広告と同じように、もっと設定済みの他の文言も精一杯出してほしいのですが、この時点では出ていませんね。

理由として、GoogleのAIによる学習がまだ十分になされてないから、ということがあります。この時点では広告を出し始めて2週間程度で、この期間が長くなると、GoogleのAIが違う結果を示すということがあり得えます。もっと頑張ってくれAI!BringRitera(リテラ)のAIはもっとすごいぞ!

この、AIへの学習のさせ方というのがリスティング広告の成功ポイントの1つになります。しかしきちんと入力画面でその説明があるわけでもなく、聞いておかないと知りようがないと思うのがこの記事執筆のモチベーションの1つです。

次の画像は、広告を出し始めて1か月ほどたった時点で「BringRitera」「AIライティングツール」と検索した結果です。先ほどのものよりも、表示される文言や内容がより意義がある内容に変わっているのがお分かりいただけますでしょうか?

このように、AIにより学習をしながらより効果的な広告を出すように変化します。

Googleリスティング広告の費用

費用は、クリックされた時点で発生します。クリック単価で、その金額は入札制となっており、競合が多いほど高くなる仕組みになっています。

リスティング広告を実施する意義

事業者によっては利益よりも売上重視というシーン、局面もあるかとは思いますが、基本的には売上ではなく、売上から広告費などコストを引いた時に残る利益を出すためにリスティング広告に出す事業者がほとんどかと思います。

そのため、費用対効果が出ているかどうかの計測ができるようにしておくことが重要で、Googleリスティング広告はそれがしやすくなっています。具体的な方法や考え方は後述します。

リスティング広告は、繋がる赤字よりもかかったコストが上回る赤字になるケースもよく耳にしますし、リスティング広告よりもSEOの方が費用対効果は圧倒的に高いです。しかしながら、SEOは効果が出るまでに期間を要するため、それまでの間はウェブ広告を実施するという方略もあります。

また、SEOによる集客に天井はもちろんあるわけで、もっと多くの集客をしたいとなってくると、ウェブ広告も並行して運用する、という流れもあると思います。私の場合はこのケースです。「BringRitera(リテラ)」という自分で開発・運営しているサービスについてSEOだけでユーザーを拡大してきましたが、使っていただくと満足していただけるので、もっと認知度を上げて、多くのユーザーを獲得できないかと、Googleリスティング広告を試すことにしました。

Googleリスティング広告の始め方

それでは、Googleリスティング広告の始め方について解説します。
まず「Google広告」とGoogleで検索しましょう。
広告枠にもGoogle広告へのリンクが表示されます。リスティング広告はクリックすると料金が発生するので、私は基本的に自然検索結果の方をクリックするように配慮するというまめな人間ですが、Google広告に関しては遠慮なく広告枠をクリックしています(自社に対して料金を発生させる仕組みになっているのかどうか、までは私は知りません)。

ログイン

Google広告のトップ画面で「今すぐ開始」を押します。

Googleアカウントにログインしてない状態の場合は、まずログインしてください。ログインすると、最初のキャンペーンを作成という画面が表示されます。

キャンペーンというのは、「広告を出すためのワンセットの設定」のようなものです。

基本情報の入力

会社名、URLの順に入力を求められるので、入力します。URLは広告に出したいURLとします。

しばらく質問が続きますが、このあたりは後で設定が可能なので、ひとまず先に進んでしまいましょう。

避けられないP-MAXキャンペーンの登録

気を付けていただきたいのが、次の画面に到達したときです。P-MAXと言って、YouTubeや検索画面に嗜好に合わせた広告を出すというものなので、リスティング広告とは異なります。

ちなみに次の画面は当社のサイトURLを入力したらデフォルトで表示された内容なのですが、何故か「金融コンサルタント」になってますね。全く違います。

それはさておき、これひどいのが、スキップできず、画像などの登録まで求められ、結構時間がかかります。P-MAX広告がGoogleの現在の推しなのでしょうが、P-MAX広告に興味がない人はガンガン適当に入力して進み、あとでこのキャンペーンを消しましょう。

明確にターゲット検索キーワードが分かっている場合はリスティング広告の方がコンバージョン率は高いと思います。あとはクリック単価がキーワードによって異なり、競合が多いと高くなるので、そことの兼ね合いになります。

コンバージョン計測設定をひとまず飛ばす

この記事の続きでは、Googleタグマネージャーを使ってコンバージョンを計測する方法をご紹介します。そのやり方でよい場合は、次の画面で「手動で設定する」を選択します。その後はひとまずスキップしてください。「接続をテスト」と出たらそれを押して、エラーが出たら「スキップ」ができます。コンバージョン計測は行うべきなのですが、よく分からない方は、ここで時間を使っているとやる気を失ってしまうかもしれませんので、ひとまず後回しにした方が良いと考えます。

ようやくこの画面に到達します。

キャンペーンの作成

ここからが肝心のキャンペーンの作成です。

まず左上の「+作成」>「キャンペーン」を押します。

次に基本的な情報を入力する画面が出てきます。ここでは1点だけ、キャンペーンタイプのところはリスティング広告の場合「検索」を選んでください。

先に進むと、「キーワードと広告」という画面に到達し、ここが非常に重要です。

最適化スコア

最初の時点では、右側に「推定パフォーマンスは入力後に表示されます」と出ていますが、入力を進めていくと、そこにスコアが表示されるようになります。このスコアを、とにかく高めることに集中すべきのようです。

見出し、説明、サイトリンク

最適化スコアのために、以下が求められます。

  • 広告見出しは最低12個
  • 説明は最低3個
  • サイトリンクも付ける

見出しに関して、実際に集客するにはこの見出しがいいから2つだけ入力でいい、という風に思われるかもしれません。私ならそう考えます。

しかし、Google広告の現在のアルゴリズムでは、単純にキャンペーンの最適化スコアが高い方が広告に表示されやすいということになっています。(個人的には、解せませんが)

入力された内容をもとに最初のうちはある程度ランダムに表示内容が選出されて、ユーザー行動をもとにAIでもっともコンバージョン率が高いパターンというものを学習していくそうです。どの検索キーワードならどの文言が良い、などもあるのでしょうね。

サイトリンクに関しては、LP1ページしかなくても、そのページの中のアンカーリンクで複数設定すると良いです。例えばLPの中の「料金」「特徴」などの各見出しに飛ぶリンクを設定するということです。

表示URLのパス

表示URLのパスという欄があり、ここは広告として表示された際にもURLのように表示されますが、Googleのとしては、サービスの内容が伝わるような言葉を入力すると良いとのことです。例えばSEOコンサルティングサービスを広告に出したかったら「SEO」「コンサルティング」とかでしょうか。

ビジネスのロゴ

ビジネスのロゴは、広告表示のところにそのままロゴとして表示されるものです。登録しないと地球儀が表示されてしまい、目立ちづらくなりますので、登録が推奨です。

ここに、次の「BringRitera -リテラ-」という文言付きのロゴを登録したら、どうやらGoogleの審査で落ちたようです。

いくら待っても地球儀のままだったので、試しにマークだけのものに変えてみたらすぐに表示されました。また、だいぶ後になって、不明確ですがたぶんこれが審査に落ちたような感じのメッセージが管理画面上に表示されました。理由は書かれてませんでした。
BringRitera(リテラ)というのが実際のサービス名なので、不可解ではあります。そもそも審査に落ちたのかどうかも、よく分からずです。Googleビジネスプロフィールもこの手のが非常に多く、「分かりづらい」かつ「不親切」なことがGoogleのサービスは多いなとは感じます。Googleの競合サービスは使ってもないので知りませんが。
ご参考までに共有しました。

追記:その後Googleに聞いたところ、文字の面積に占める割合がルールを超えたのだろうということでした。そのルールはどこにも掲載されてないし、そのルールが理由であるということのユーザーに対する通知もないそうです。やはり不可解。

検索キーワードの設定

「キャンペーン」>「検索キーワード」>「検索キーワード」で、どの検索キーワードに対して広告を表示させたいかを設定します。

ここで重要なのが、マッチタイプで、それぞれ以下の意味合いとなります。

  • 完全一致:その検索キーワードと完全に一致している場合しか広告を表示しません。
  • フレーズ一致:指定したキーワードと同じ意味のキーワードが入力された場合に広告を表示します。
  • 部分一致:指定したキーワードと関連するキーワードで広告を表示します。

部分一致が最も広く、完全一致が最も狭くなります。「部分一致 > フレーズ一致 > 完全一致」の順に広告表示の対象範囲が変わります

除外検索キーワードの設定

「キャンペーン」>「検索キーワード」>「除外検索キーワード」で、指定したキーワードでは表示させないようにする設定ができます。「BringRitera」のように、自社のサービスを探すために検索される指名検索の場合、広告に表示された部分をクリックした方が早いためにクリックされてしまい無駄に課金されてしまうので、除外するのが良いと考えます。そもそも表示されないようにするべきだと思うのですが、ここはGoogleの商売っ気を感じますね・・。

コンバージョンの計測

コンバージョンを計測することで、費用対効果の測定を可能とすると共に、コンバージョン率を目標としたAIによる学習をGoogleが行うようになります。

コンバージョンの計測方法は次の記事を参照ください。

結果の見方

レポートや分析結果は様々なものがありますが、ここでは特に知っておくと良いものをご紹介します。

検索語句

「キャンペーン」>「検索語句」のところで、検索キーワードごとの以下の情報が把握できます。

  • 表示回数
  • クリック数
  • クリック数
  • 平均クリック単価
  • 費用
  • コンバージョン率
  • コンバージョン単価

ここを見ながら、コンバージョン単価の高いものは削ったり、部分一致にするのか、フレーズ一致にするのかを考えたり、などといったことをすると良いでしょう。

パフォーマンスプランナー

「ツール」>「パフォーマンスプランナー」では、予算に応じたコンバージョン数の予測グラフを見ることができます。予算を上げれば上げるほどコンバージョン数は増えはしますが、ユーザーの検索数の上限があるため、徐々にパフォーマンスは下がるわけです。パフォーマンスの効率を踏まえての予算の検討が可能です。

予算の決め方

最初はAIによる学習があるのでコンバージョン率が低い

しばらくはAIが学習にかかる時間があるため、コンバージョン率が低くなります。Googleによれば、3か月くらい様子を見て欲しいとのことです。料金を多くかけた方がデータが多くたまるため、早く学習されるそうです。

実際のところ、少なくとも最初のうちは、1キャンペーン当たり最低10万円/月くらいというのが1つの目安となります。

定常的に広告を回す段階になったら、クリック単価、すなわち1クリックされたら、そのあとのユーザーの行動にかかわらず料金が発生するという仕組みなので、次のように逆算して考えます。

1ユーザーあたりに見込まれる利益

1ユーザーあたりに見込まれる利益を計算しておきましょう。利益は、売上からコストを引いた金額です。
BringRitera(リテラ)のようなSaaSの場合は、LTV(顧客生涯価値)で求めます。例えば月額3,000円のサービスの場合に、1ヵ月しか使われなければLTVは3,000円ですし、1年であれば36,000円(3,000円×12ヶ月)という感じです。これを計算するために、平均課金額と平均継続利用期間数を把握する必要があります。

コンバージョン率

リスティング広告からクリックしてきたユーザーが、課金に繋がるコンバージョン率を想定します。例えば100クリックされたうちの1回が課金に繋がれば、コンバージョン率は1%です。

費用対効果を試算する

(クリック数 × コンバージョン率 × 1ユーザー当たりに見込まれる利益)-(クリック単価 × クリック数)を計算して、マイナスにならない額を考えます。

まとめ

なんだか愚痴が多くなりましたが、Googleリスティング広告の基本ノウハウを共有するのがこの記事の目的でした。リスティング広告による費用対効果があるかどうかは、サービスによります。より費用対効果が高いSEOも含め、トータルな視点で考えるようにしましょう。当社はトータルな視点でのご相談もお受けします。

著者のイメージ画像

株式会社BringFlower
稲田 高洋(Takahiro Inada)

2003年から大手総合電機メーカーでUXデザインプロセスの研究、実践。UXデザイン専門家の育成プログラム開発。SEOにおいても重要なW3Cが定めるWeb標準仕様策定にウェブアクセシビリティの専門家として関わる。2010~2018年に人間中心設計専門家を保有、数年間ウェブアクセシビリティ基盤委員も務める。その後、不動産会社向けにSaaSを提供する企業の事業開発部で複数サービスを企画、ローンチ。CMSを提供し1000以上のサイトを分析。顧客サポート、サイト運営にも関わる。
2022年3月に独立後、2024年4月に株式会社BringFlowerを設立。SEOコンサルを活動の軸に据えつつ、AIライティングツールの開発と運営を自ら行う。グッドデザイン賞4件、ドイツユニバーサルデザイン賞2件、米国IDEA賞1件の受賞歴あり。