SEO

SEOにおいてディレクトリ構造はどうあるべきか?

SEOのためにディレクトリ構造をどうすればよいかとお考えでしょうか?確かに影響しそうなところで気になるものですが、結論から言うと、一度構築したディレクトリ構造を変更するほどの意味はSEOにおいてありません。変更するデメリットの方が大きくなる可能性が高いでしょう。

全く関係ないかと言えば、そうとも言えないので、具体的にどのような影響があり得るのか、理想としてはどうあるべきか、どうしてそこまで気にしなくても良いのか、解説いたします。

ディクレトリ構造とは?

ディレクトリ構造というのは、URLのうち、ドメインより先の部分を指します。例えば以下の例では/articles/artilcle-01/がディレクトリです。

https://www.example.com/articles/artilcle-01/
https://www.example.com/articles/artilcle-02/
https://www.example.com/articles/artilcle-03/

検索エンジンはディレクトリを見ているのか?

検索エンジンはクロールしてURLを把握したうえで、インデックスするかどうかを決めるので、もちろんディレクトリ自体は把握はしています。

では、ランキング要素としてディレクトリ構造やディレクトリ名を使っているかというと、後述する理由によりGoogleは少なくとも現在において、使ってないであろうというのが私の考えです。
というのも、基本的にはこのような細かいアルゴリズムは明かされてないですし、検索エンジンにもよるといったところにはなります。

ここ近年では、ロシアのYandexという検索エンジンに関する資料リークと、2024年5月にはGoogle史上初となるアルゴリズムに関連する資料のリークがありました。

そのリークによって、これまでGoogleがランキング要素として否定してきたもの、例えばドメイン年齢などが密接に検索順位に関係していそうだと分かったものですから、そもそもGoogleの言うことなど鵜呑みにしてはいけません。この粒度の内容になると実体験に基づいた推測で考えるしかないのです。

Yandexの資料は内容が古いとYandexの関係者が明かしています。
Googleの資料に関してはランキング要素そのものを示した資料ではなく、どのようなデータをGoogleが取り扱っているかを示した資料に過ぎません。

その前提でお伝えすると、YandexはURLの名称をランキング要素に、少なくとも過去使っていたという驚きの内容がありました。
一方で、Googleの資料では、ディレクトリに関係する部分としては、ディレクトリに書かれた日付を参照しているという情報だけでした。ディレクトリに書かれた日付によって情報の新鮮さを判断されているとしたらデメリットになり得るので、URLに日付を用いるのは、SEOを気にしなくても良い「お知らせ」くらいにした方が良いとは言えます。

鵜呑みにしてはいけないGoogleの発言を引用すると、「ディレクトリはユーザーのために分かりやすい方が良い」ということをジョン・ミューラー氏が過去に述べています。

ディレクトリ構造とSEOの関係

では、具体的にディレクトリ構造とSEOの関係について解説します。

ディレクトリ構造とSEOはあまり関係はない

ディレクトリ構造とSEOがあまり関係がないというのは、これまでの私の経験や実際に検索して上位に表示されるページを見て言えることです。

例えば次のURLは、激アツ戦線と言える「クレジットカード おすすめ」で上位に表示されるページの1つです。
https://my-best.com/11292

このマイベストというサイトは、実体験に基づく良質な商品レビューを多く載せていて、非常にSEOに強いサイトとしてSEO業界でも有名です。ところがご覧の通り、ディレクトリでは分類されてませんし、URLに意味のある言葉も使ってません。

これは一例で、いくつか試してみると、案外このような形にしているSEOに強いサイトは多く存在します。

基本的にGoogleは、ユーザーの検索意図に沿った内容を上位に表示させようとします。そうすることで、ユーザーはGoogleを継続して使うようになり、Googleに広告収入が入ります。そういう理屈で考えれば、ディレクトリをランキング要素に使う必要性がないことは想像がつきます。

ユーザーが検索して、ディレクトリを気にするかというと、気にしないからです。ディレクトリによるユーザー行動への影響はほとんどないと言えるでしょう。

強く関係するのはディレクトリ構造ではなくサイト構造

ここがこの記事のクライマックスです。
ディレクトリ構造がSEOに関係するわけではなく、サイト構造がSEOに強く関係します。似たような話に思えるかもしれませんが、この2つは別物です。

マイベストも、次のようにパンくずリストやカテゴリーをサイトで示していて、サイト構造としてはきちんとカテゴリー分けされています。

パンくずリスト
カテゴリー分けされたサイトの例(引用:マイベスト)

SEOに強いサイト構造とは、このように適切にカテゴリー分けをして、パンくずリストやカテゴリーメニューを使って親階層や子階層にユーザーが辿り着きやすくなっているものを言います。

図にすると次のような形で、カテゴリーの同一階層間と、上下階層間でのリンクが張られた状態を作ります。

ただやみくもにリンクを張ればよいわけではありません。元々はリンクジュースという俗語がSEO業界にあったくらい、単純にこういうリンクの張り方が良いという話もありましたが、現在において、どうしてこういう状態がSEOに強くなるかというと、ユーザーにとって分かりやすく、スムーズにサイト内を回遊できるようになるからです。そうなればサイトの滞在時間も自然と伸びます。Googleは現在において、ユーザー行動のデータをランキングに用いているであろうことが、先日のリークによって明らかになっています。NavboostとGoogleは呼んでいます。
そのページがユーザーの検索意図に沿っているかどうか、ユーザーの行動から推測がつくからです。

あとは検索エンジンによるクローラビリティの問題もあるので、その意味では、ユーザーにとっての視覚的な分かりやすさ以外にも、リンクを張る意味はあると言えます。やみくもにリンクを張ればよいわけではないですが、かといって全くリンクを張らないよりは張った方が良いとも言えます。

ディレクトリ構造はSEOにどう影響するのか

ただし、間接的にディレクトリ構造がSEOに影響する可能性はあります。

https://www.example.com/articles/camera/xxx/

このようなURLを見れば、

https://www.example.com/articles/camera/

ここにカメラのカテゴリーページがあると想像がつくからです。
その結果、少なからずこのURLをダイレクトにユーザーがアクセスする可能性があります。その行動はSEOに影響するかもしれない、ということです。

なので、関係しないことはないが、ほとんど関係ないだろう、ということです。

とはいえ、このようにしておいた方が分かりやすいので、やれるならそうしましょうという感じです。

Googleが示すディレクトリに関わるベストプラクティス

Googleが示しているベストプラクティスの中で関連するものは次のURLの内容です。

Google における URL 構造のベスト プラクティス

この中では「可能な場合は、長い ID ではなく意味のある単語を URL に使用します。」と書かれています。理由は書かれてませんが、ユーザーにとって分かりやすいからということだと思われますので、やはりSEOへの影響は大きいわけではありません。

ただ、上記URLの中にも書かれているように、日本語文字をURLに使うのは極力避けた方が良いと言えます。日本語文字はブラウザ上では表示されますが、リンクとして用いようとすると文字化けしますので、リンク先として第3者が示すときに示しづらいというデメリットがあり、被リンクの数への影響も懸念されます。

まとめ

お分かりいただけたでしょうか?
ディレクトリ構造が整理されてない状態のサイトリニューアルをする際に、ディレクトリを変えるべきかと言えば、変えないメリットの方が大きいので、できるだけ変えないほうが良いでしょう。
ディレクトリ構造、サイト構造において、SEOのためにまず強く意識すべきは、ユーザーが有効にサイトを回遊できるようなUXを考えるということです。

著者のイメージ画像

株式会社BringFlower
稲田 高洋(Takahiro Inada)

2003年から大手総合電機メーカーでUXデザインプロセスの研究、実践。UXデザイン専門家の育成プログラム開発。SEOにおいても重要なW3Cが定めるWeb標準仕様策定にウェブアクセシビリティの専門家として関わる。2010~2018年に人間中心設計専門家を保有、数年間ウェブアクセシビリティ基盤委員も務める。その後、不動産会社向けにSaaSを提供する企業の事業開発部で複数サービスを企画、ローンチ。CMSを提供し1000以上のサイトを分析。顧客サポート、サイト運営にも関わる。
2022年3月に独立後、2024年4月に株式会社BringFlowerを設立。SEOコンサルを活動の軸に据えつつ、AIライティングツールの開発と運営を自ら行う。グッドデザイン賞4件、ドイツユニバーサルデザイン賞2件、米国IDEA賞1件の受賞歴あり。